9条連ニュース/163号 PEACE 


 沖縄からの発信 No.9

−沖縄の米軍基地と憲法9条 6.29シンポジウム−
沖縄から憲法9条の翳を撃つ! 
「平和憲法」の門をくぐった。ふり返るとそこには「安保条約」とかいてあった。

 
 沖縄9条連は「6・29シンポジウム」を北谷町のニライセンターで開催。シンポジウムは、復帰世代初の県議会議員となった仲村未央(みお)共同代表の力強い開会宣言で始まった。
 司会の安里英子共同代表から、教科書問題、反復帰論、性暴力のそれぞれの視点からみる憲法9条と、沖縄の地で憲法9条を生かしていくための論議をつくっていくことが、シンポジウムの課題として提起された。

石原昌家さん   「沖縄戦・教科書問題と憲法9条」   
沖縄戦ねつ造の出発点は「援護法」の摘要
 教科書改ざん問題を積極的に取り組んできた石原昌家・沖縄国際大学教授は、沖縄戦ねつ造の歴史的出発点は、「軍人恩給法」に代わって1952年に施行された「戦傷病者戦没者遺族等援護法」にあると指摘した。
 軍人・軍属のために制定された「援護法」を、沖縄に適用するにあたって、沖縄住民を「軍との雇用類似の関係」にあった「準軍属」とし、「積極的に戦闘協力した」「戦闘参加者」として位置づけることによって国家補償の対象とし、同時に靖国神社へ祭神として合 祀(ごうし)していった。
「集団自決」へと書きかえられた住民虐殺、強制集団死
 こうして、住民虐殺や強制集団などの無惨で「無念の死」が、「殉国死」や「名誉の死」を意味する「集団自決」へと書きかえられていった。
 この沖縄戦ねつ造の歴史的出発点となった「援護法」が成立したのも、サンフランシスコ講和条約、日米安保条約が効力を発した1952年であった。
 石原さんは、そのねらいと背景をあらためて問うべきだと提起した。

新川明さん  「日本復帰と憲法9条」
「反復帰」の意味を再度問おう 沖縄の基地を前提とした第9条
 ジャーナリストの新川(あらかわ)明さんは、1970年前後、県民一丸となって高揚する復帰運動の中で、あえて「反復帰」を唱えた思想的意味を問うた。
 国民統合の象徴としての天皇を柱とし、その天皇制を守ることと、沖縄の米軍基地の排他的占有を前提とした第9条の戦争放棄条項をもつ日本国憲法。
 「平和憲法下の祖国日本へ帰ろう」という復帰思想にはらまれている「母なる祖国」や「平和憲法」の内実を真摯に問うたのが、「反復帰論」であった。
 今日でも権力の攻撃をはね返していく闘いと同時に、政府にすり寄って行こうとする自らの精神の歪みをどう乗り越えていくかは、重要な課題であると問題提起。

高里鈴代さん  「米軍基地と性暴力」
憲法より安保条約が上位の沖縄止まぬ米軍犯罪
 基地・軍隊を許さない行動する女たちの会共同代表の高里鈴代さんは、平和憲法が成立したころの、米軍による無法地帯と化していた沖縄の悲惨な現実を、性暴力の実態を通して明らかにした。
 復帰後でも、治外法権的特権を与えられている米兵は、性暴力をはじめ、多くの米軍犯罪を引き起こしている。
 去る2月の米兵による14歳の少女への性暴力事件に対して、米軍高官や駐日大使などの素早い謝罪表明も、日米軍事同盟を維持し、米軍再編を促進するための政治的対応にすぎない。県民にとって復帰とは、「平和憲法の門をくぐった。ふり返るとその門には、安保条約と書かれていた」という状況で、沖縄では、日本国憲法より安保条約が上位であり、国是となっている。
 高里さんは、沖縄には平和憲法は適用されていない現実を、厳しく指摘した。

憲法の精神を回復しよう9条を実現しよう沖縄で
 これらの提起を受け、「強制集団死」の問題や「この沖縄で9条を守る運動は、どのような闘いとしてつくり出されるべきか」をめぐって、各パネリスト、フロアからの参加者を交え、活発な論議が展開された。
 160名余の参加者は、あらためて憲法の初心に立ち返り、憲法の精神を回復していくことの大切さ、とりわけ9条を実現していく日々の闘いの大事さを確認した。
(沖縄9条連事務局 宮城和之)

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