9条連ニュース/117号 巻頭言

私の平和訴訟
友田 良子

湾岸戦争で日本政府がアメリカ軍を核とする多国籍軍に90億ドルの戦費を拠出したことは、平和憲法に違反するばかりか、私の思想信条にも反するもので絶対に納得出来ないと、 1991年4月、90億ドルの拠出の違憲確認と、慰謝料請求を求めて裁判を起こしました。

代理人なしの本人訴訟ですが、この裁判は1997年1月27日の判決で敗訴しました。しかし地裁は私の主張である「平和的生存権」と「納税者基本権」に一定の理解を示しました。『……憲法前文、九条等の規定は、憲法が、国民と国(公権力)との関係において、国に対し、平和の維持を国民に対する関係において義務づけていると解することができ、これを国民の側からいえば、憲法上、国民は国に対し、平和を維持するように要求することができる権利(これを、仮に、「平和的生存権」と命名することができよう。)があるというべきである』と。その後宮崎高裁でも、最高裁からも鹿児島地裁の判断を越えるものは示されず、私は平和的生存権の危機にはこの判断を根拠にして「私の平和的生存権は軍隊の力ではなく、憲法前文と九条によって守りたい」と再び訴えたいと思っていました。そして今回またも国はイラク戦争へ世界第三位と言われる軍備をもつ自衛隊を派兵しました。

七年前にも裁判所は自衛隊の派兵は違憲ではなく、私の利益に反するとは思えないと却下しました。あの時点で司法が、国の違憲行為を確認していたら今回の派兵はなかったはずです。私の平和的生存権は再び危機になる事はなかったはずです。私は 6月16日に自衛隊の派兵差止めと、慰謝料請求を代理人なしの本人訴訟で東京地裁に起こしました。毎日、リレー提訴のイラク派兵違憲訴訟です。

第一回口頭弁論が2004年7月26日にありました。その時には原告は85人でしたが、8月6日に戦争体験者等、年代の異なった女性ばかり15人が毎日提訴をはじめました。原告は 100人を越えました。

裁判所は平和訴訟を、「統治行為論」等の理論で逃げてきました。安保も、90億ドルの戦費支出も、自衛隊の海外派兵も、政治的判断を必要とするもので、司法が判断をすることではないというのです。国を統治するのは憲法を基本にしなくてはならないという分かり切った事を難しそうな理論にして、裁判所は違憲立法審査権を失うような、司法の独立を手放すようなことをしています。裁判所が憲法の番人という役割を担わない時、憲法前文も九条も無に等しくなります。私たちは憲法に守られて 59年、戦争によって殺されることも、殺すこともなく暮らしてきました。平和憲法は私達よりも、子供たちにとって大切な問題です。子供たちは見ています。聞いています。自分たちの未来がどうなるのかを。

司法にとって、この裁判は憲法の番人としての役割を担うために最後の機会だと思います。また平和憲法を守り、活す暮らしを続けたいと思う人々の最後の訴えだと思います。

(ともだ よしこ 九州9条連代表)

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第9条 【戦争の放棄,軍備及び交戦権の否認】
1、日本国民は,正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し,国権の発動たる戦争と,武力による威嚇又は武力の行使は,国際紛争を解決する手段としては,永久にこれを放棄する。2 、前項の目的を達するため,陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない。国の交戦権は,これを認めない。