9条連ニュース/118号 巻頭言

おんな組いのち
朴 慶南

学校で子どもたちに講演をする機会が多い。中心となるテーマは、命の大切さと人間の尊厳である。そのなかで何より大切なこととして、これだけはしっかりと心に刻んでほしいと特に声に力が入るところが、次の言葉だ。

「死ぬな、殺すな、踏みにじるな、踏みにじられるな」

標語のように強調しながら、子どもたちの顔を前にして胸がキリッと痛む。私たち大人が実際にやっていることは、その言葉とは正反対のことだからだ。

戦争という大量殺人と最大の人権侵害をいまだやりつづけていること、まだそれを止めさせることができないでいることを、大人の一人として、とても情けなく恥ずかしいと思う。

また、平和の礎である憲法九条をないがしろにし、再び戦争への道に突き進もうとしている日本の現状に、この国に住む一人として強い危機感と責任を感じている。

このままでは、未来を託す子どもたちにとても顔向けできない。

そんな思いを抱いて、いま自分がやれることにもてる力を注ぎこみたいと思う。戦争(暴力)はイヤだと声をあげ、行動を起こし、広く手を結びあって平和への歩みを進めていきたい。

そのために発足したネットワークの一つを紹介したい。作家の中山千夏さんと人材育成コンサルタントの辛淑玉さん、そして私の三人が元祖世話人となった「おんな組いのち」というものである。

国籍や民族を越えて手をつなぎ、戦争のない非暴力社会を創り出していこうという趣旨だ。女性や子どもなどへの暴力やさまざまな差別を解決していくことも目的としている。

名称が「おんな」となっているのは、戦争や暴力を好まず、何より命を慈しみ、競争より協調を重んじる「女性的価値観」を表わしてのことだ。

暴力で物事を解決しようとする「男性的価値観」では、平和な非暴力社会は実現できない。もっともわかりやすい例がブッシュのアメリカだろう。

「おんな」を掲げてはいるが、決して女性だけのものではない。もちろん趣旨に賛同する男性も仲間に入ってほしい。現在の加入者の男女比は半々となっている。

いま私たちに求められているのは、一人ひとりがあらゆる形でつながりあって大きな力となっていくことだと思う。

命が大切にされ、それぞれの尊厳 が守られる平和で平等な社会を、みんなの力で創りあげていきたい。

(パク キョンナム 作家)

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第9条 【戦争の放棄,軍備及び交戦権の否認】
1、日本国民は,正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し,国権の発動たる戦争と,武力による威嚇又は武力の行使は,国際紛争を解決する手段としては,永久にこれを放棄する。2 、前項の目的を達するため,陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない。国の交戦権は,これを認めない。