9条連ニュース/117号 リレートークNO.5

九月は悲しみの月、怒りの月
中原 道子

少女が三人の米兵に強かんされ、殺されたのは一九九五年の九月である。そして先月、沖縄で米軍のヘリコプターが大学キャンパスへ墜落した。大学のキャンパスの事故現場は、一瞬にして米軍基地であるかのような治外法権下に置かれた。駆けつけた沖縄の警察官が現場にはられたロープの外でなすすべもなくたたずむ姿は、安全保障条約がどんなものかを物語っていた。

そして今、沖縄の辺野古で人々の抗議の中、海上基地建設のためのボーリング調査が行われようとしている。

九月は忘れられない月である。それ以上に怒りの月である。国家間の安全保障条約は一体なにを守るのだろうか。人間の安全など保障しない安全保障条約の下で、沖縄ではどれほどの人々の命が奪われ、傷つき、強かんされ、殺されていったか。本土の日本人は沖縄を十五年戦争で、犠牲にし、その構造は一度も是正されることがなかった。

今、日本政府は憲法を改悪しようとしている。最大の目的は九条を改悪して、日本を戦争のできる国、米国のために戦争の出来る国にしようとしている。日本は戦争をする必要が全くないから、戦争をするとしたら米国のためである。九条を失ったら、私たちの日常がどのように変わるのか、一人でも多くの人に伝えよう。

有事法制ですでに「徴用」が合法化されたように、必ず「徴兵制」が導入され、あなたたちは強制的に戦場に送られると。あなたたちは今まで会ったこともない、なんの利害関係もない他国の人々を殺すことになる。あなたは今まで来たこともなかった外国の砂漠や、密林や、街の道端で殺されるだろうと。その時になって反対してももう遅いのだと。

一九四五年八月一五日以前の古い新聞を一頁読むだけでいい。マスメディアは真っ先に、言論の自由を放棄し、政府のいうことだけを伝えるようになるということがわかる。

現在のマスメディアはすでに言論の自由、公平な報道を棄て、政府の広報機関になりつつある。日本のマスメディアが皆声を合わせてイラクの日本人人質へのバッシングを叫んだことは記憶に新しい。あの偏向した報道の仕方は、ほとんど戦争中の大本営発表を報道していた新聞と同じだった。反対するものには「非国民」の罵声が聞こえるような雰囲気だった。確実に、私たちの自由は失われつつある。

公立の学校で「君が代」を歌わぬ自由、「日の丸」を掲げぬ自由はすでにない。国民総背番号をつけられ、監視カメラの網のなかで、私たちは暮らしている。

九月九日、参議院総務委員会は海老沢勝二NHK会長を参考人として呼び、NHKの不正行為の集中審議をおこなった。しかしNHKは中継しなかった。そして十一日に謝罪番組を放映する。つまり、海老沢会長が参考人として、さまざまな質問に答え、謝罪する場面は中継せず、番組として「編集」「製作」されたものを放映するのである。NHKはこれを「編集権」だと主張した。この問題は、重大な意味をもっている。NHKは事実そのものではなく「編集」した情報を、送るということだ。

私たちは、九条がなくなると、何が起こるのか、人々に伝えよう。

(なかはら みちこ 早稲田大学名誉教授)

戻る

 

 

 9条連ブックレット


「新聞報道に見る 沖縄の
米軍基地と住民」


「戦争のないもうひとつの
世界は可能か」



平和のために
−伊藤成彦講演から



「平和を育てよう」
−藤井治夫講演から



「第九条が輝く21世紀を」


「憲法9条ー護憲か廃憲か」



平和のために軍備と戦争の
構造を学ぶ
「世界を見つめる」

 9条連グッズ


9条連
“エコバッグ



タビックス

 
第9条 【戦争の放棄,軍備及び交戦権の否認】
1、日本国民は,正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し,国権の発動たる戦争と,武力による威嚇又は武力の行使は,国際紛争を解決する手段としては,永久にこれを放棄する。2 、前項の目的を達するため,陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない。国の交戦権は,これを認めない。