9条連ニュース/134号 リレートークNO.22




米軍再編と岩国基地  

纐纈 厚

 強まる日米両軍の一体化「米軍再編中間報告」に鮮明
 昨年10月30日、日米安保協議委員会(所謂、2プラス2)で合意された 中間報告「日米同盟 未来のための変革と再編」(以下、「米軍再編中間報告」)が公表された。
 その内容は、これまで以上に日米両軍の一 体化を鮮明にしている。
 日米両軍が現実にどう対応するか、イラク戦争を想起して欲しい。
 アメリカはその石油戦略・安全保障上から、イラクを攻撃した。
 軍事力を投入する手法は、違法かつ非人道的行為である。そのような選択を日本は採用するものではない。しかしこの報 告書では、アメリカの流儀に従って、今後第二のイラク戦争に対応しようと宣言しているに等しい。
 つまり自衛隊の「自衛軍」への脱皮と 、その自在な展開を意図した憲法改悪の動きに拍車をかけている。

岩国基地機能の飛躍的拡大が意図されている!
 ここでは、「中間報告」 に記載された岩国基地の機能強化の問題に触れておきたい。
 周知の通り、すでに日米両政府は米軍再編を先行するかのように、艦載機60機ほどの岩国基地移駐を事実上決定している。
 岩国基地の基地機能の拡大路線は日米安保再定義前後から本格的に検討されて おり、騒音対策を口実に現在の滑走路から沖合約1キロの海上を埋め立てて巨大な滑走路が建設中である。
 そこには4万トン級の大型艦船も接岸可能な港湾施設も併設される予定である。
 米軍再編により、従来の在日米軍と在韓米軍の垣根が取り払われ、沖縄の嘉手納(かでな)と並び、「在アジア米軍」の最大の出撃基地として岩国基地が再登場する段取りとなっている。

国民世論と地元住民の声を
 現在、艦載機の受け入れをめぐり、地元住民の反対を押し切る形で山口県や岩国議会が動き出そうとしており、現時点で岩国市長の態度は表向き受け入れ反対だが、近い将来、国との妥協の可能性も否定できない。その意味で岩国周辺の住民の反対運動も微妙な状態にある。ただ 、多くの市民が反対運動に立ち上がっており、その点で予断を許さない緊迫した状況下にある。全国からの反対の声も期待したい。
 今後、日米両国間における軍事共同体制が濃密に構築されていく、極めて具体的な実行目標を細部にわたり書き込んだ「米軍再編中間報告」の内容は、すでに現行憲法は言うまでもなく、日米安保条約すら完全に飛び越した意図と方向を示したものである。
 それは、日米両軍当局が一 つのユニットを形成するというに留まらず、日本国家があらたな軍事体制の中に放り込まれていくことを意味している。
 そうした危険な方向にストップをかけるのは、国民世論の動きと、米軍再編に絡んで新たな基地や施設の提供や協力を迫られている地方行政及び地域住民の闘いである。

憲法改悪への抵抗は不可欠
 逆から言えば、憲法を骨抜きにするか一気に改編することによって、こうした一連の軍事共同
体制創りに拍車をかける方法が採用されている。国民世論や地域住民に後押しされた地方行政組織の抵抗が不可欠だ。
 これに沈黙を強いる企てが種々強行されることになろうが、そのような事態は到底許されるものではない。(こうけつ あつし 山口大学教授・9条連やまぐち世話人)

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